大学院の後期博士課程へ進むことがかなり危険であることを解説します。
大学院の後期博士課程へ進むことが危険な、2つの理由
1「博士号を取る難易度が非常に高くて、研究生活が極めて過酷になる」
博士号を取る難易度は非常に高い
- 後期博士課程修了のための条件は、だいたいの大学が「学術雑誌に、しっかりした内容の論文を1~3報程度投稿すること」になっている
- 自身の見込み違いなどが原因で、「相当の時間を費やして研究をしても、成果らしい成果は上げられなかった」という事態になると、投稿用の論文が書けずに後期博士課程を修了できない
- 研究室の種類によっては、教授の監督能力不足や研究設備が不十分などの理由から、年間で投稿している論文がゼロに近いという研究室もある
- このような研究室に入ってしまうと、後期博士課程修了に対して多大なハンディキャップを負うことになる
一般に、
後期博士課程で論文を通す難易度は、学部の卒業論文や前期博士課程(修士課程のこと)の修士論文を通す難易度よりも、はるかに上だと言われています。
教授・准教授との付き合いが、高確率でストレスをもたらす
- 後期博士課程における教授・准教授との付き合いは、学部時代や前期博士課程での付き合いよりも、悪い方向で緊密なものになるとよく言われる
- 研究の進捗具合が悪かったり、研究の成果がいまいちである場合、教授に手ひどく非難されて、深刻な精神的ダメージが日々蓄積していく
後期博士課程をスムーズに修了できるかどうかは、その研究室と教授と仲良くできるかどうかが大きく関係してくる、とよく言われます。
仲良くできていれば博士論文を通して学術雑誌へ投稿することに協力的態度を取ってくれますが、
もしも仲が悪い場合、博士論文を教授に通してもらうことが困難になったり、教授達との研究生活がいちじるしく苦痛になります。
2「博士課程修了後、経済面で苦境に立たされやすい」
一般企業に正社員就職することが、かなり困難になる
日本の企業には、
- 新卒者ではない(学部卒の新卒者ではない、という意味)博士課程修了者は、倦厭する傾向が強くある
- 博士号持ちの人材のスキルを積極的に活用していこうとする土壌が、まだ備わっていない
という特徴があり、
そのせいで、博士課程修了後に企業就職することがかなり難しくなります。
ポスドクとして活動していても、生活が困窮しやすい
- ポスドク(博士号をもつ、任期付きの研究業務を行う人のこと)は定期的に契約が切れるため生計が不安定になりやすく、
そのうえ、ポスドクの公募の競争倍率も非常な高くてなかなか就けない - 文系の場合、理系の場合よりもポスドクのポスト数がずっと少なく、余計に生活が困窮しやすい
以上のことから言える、後期博士課程へ進むべき人とそうでない人
後期博士課程へ進むべき人
後期博士課程での研究活動をしたい!という明確な熱意がある人
強い熱意があれば過酷な研究生活も乗り越えられる可能性が高くなり、
「発見」「向上」などの実りの多い研究生活が実現すると思われます。
自身の目標のために、どうしても博士号という学位が必要な人
- 企業内で研究職として働きたいため、そのために必要な条件として博士号がいる
- 大学でアカデミックポスト(教授・准教授・講師・助教といったポストのこと)に就きたいので、そのために必要な条件として博士号がいる
実家が裕福であり、実家からの強力なバックアップが期待できる人
たとえば、
実家がかなり裕福であり、大学で学問を修めることで教養とステータスを高めることを強く重視していて、課程修了後の就職などは二の次、という家柄の場合、
後期博士課程にまつわる大半の問題をクリアできます。
後期博士課程へ進んではいけない人
消極的理由から後期博士課程へ進もうとしている人
- まだ企業就職をしたくない
- まだ就職活動をしたくない
- 社会へ出ることが怖いから、まだ大学の中で学生として残っていたい
- これらのような理由から後期博士課程へ進んでも、その後に不幸な道をたどる可能性が極めて高くなる
能力があまり高くないのに、研究職やアカデミックポストに就きたい人
企業における研究職というポストの競争倍率や、アカデミックポストの競争倍率は、高人気であるため非常に高くなり、倍率が数十倍に達することが決して珍しくありません。
そのため、実力が卓越していないのに、研究職やアカデミックポストを目指して後期博士課程へ進もうとすることは無謀であると言えます。
実家があまり裕福ではない人
後期博士課程を修了すると、企業に一般就職することが困難になります。
そのため、実家が裕福であり強力なバックアップを受けることができるという人達以外は、修了後に就職難のせいで困窮する可能性が高くなります。
当ブログでの、後期博士課程修了後の「ポスドク」に関する記事↓も合わせてご覧下さい。
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