発達障害の一種「自閉症スペクトラム障害」を抱えている人達が、人間関係で嫌われやすい原因を解説します。
自閉症スペクトラム障害を抱えている人が嫌われやすい、5つの原因
1「話相手の感情・事情に配慮して話すことが、極めて困難だから」
- 自閉症スペクトラム障害を抱えている人達は、
話相手の「表情の変化」「感情の具合」「触れられたくない事情」などを読み取ることが、障害の症状のせいで困難- 読み取ることが難しいため、話相手の感情・事情に配慮せずに、カチンとくることをうっかりしゃべってしまうことが多発する
2「他者との会話において、トラブルが頻発しやすいから」
会話で、話相手の言葉を誤解することが多発してしまう
- 他者の言葉を、言葉通りの意味で受け取ってしまって、「例え話」「言葉の裏の意味」などを読み取ることが困難
- たとえば、友人の仕事終わりの「疲れて死にそう」といった言葉を、実際に死の危機に瀕していると解釈してパニック状態になってしまう
- 「あれ」「あのこと」「例の問題」といった、代名詞や、抽象的な表現を、自閉症スペクトラム障害の症状のせいで具体的に何を指しているかを理解することがいちじるしく困難
3「その場の空気」「その場の暗黙の了解」といったものを読み取ることが困難
- 「その場の空気」を読み取ることが困難であり、自閉症スペクトラム障害を抱えた人の発言が、その場のみんなの反感を買ってしまうことが非常に多い
- 「その場の暗黙の了解」を理解してそれに従うことが困難であり、その場のみんなからすればルール違反と感じる行動を取ってしまうことが非常に多い
4「自分が興味がある分野の物事を、一方的に話し続けてしまう」
- 自閉症スペクトラム障害の症状の1つに「興味の範囲がいちじるしく狭く、その興味の対象に強い執着を示す」というものがある
- 他者との会話で、興味がある分野の話題になったり、自分から話を振ろうとする際に、興味のある分野の話が止まらなくなってしまう
5「マイルールを貫くことに固執し、そのことがみんなの反感を買うから」
- 自閉症スペクトラム障害を抱えている人達は、マイルール(○○という状況では必ず××という行動を取ること)を、それをすべきではない状況でもマイルールを貫こうとしてしまう
- このマイルールは、いちじるしく狭い思考の幅や片寄った価値観から生み出されたルールであるため、他の人達からすると間違っている場合が極めて多い
- このマイルールを、他者達から「その行動方針は間違っているから止めて」と制止されると、自閉症スペクトラム障害を抱える人は、激怒したりいちじるしく不機嫌になる傾向が強くある
自閉症スペクトラム障害の主な症状
主な症状
自閉症スペクトラム障害の症状 | 自分なりのルールにこだわる |
想定外のことが起こると、パニック状態になってしまう | |
場の空気を読むことが、非常に苦手 | |
話相手と視線が合いにくい | |
表情がとぼしい | |
手先が不器用 | |
一部の感覚が過敏(騒音などに対して過度にイライラしやすい) | |
一部の感覚の鈍磨(刺激を求めて自身の身体を叩きたくなるなど) | |
興味・関心が、狭い範囲内に限定される |
「アスペルガー症候群」と「自閉症スペクトラム障害」はよく混同されますが、
おおざっぱに言うと、アスペルガー症候群の新しい呼び方が、自閉症スペクトラム障害です。
厳密に言うと、
- 自閉症(言語の発達が遅れていて、他者とのコミュニケーションが困難、という障害)
- アスペルガー症候群(言語の発達の遅れは見られないが、他者とのコミュニケーションが困難、という障害)
「自閉症」と「アスペルガー症候群」は共通した症状をもつ障害であり、
この2つを明確に区分することは困難であるため、
スペクトラム(英語で『連続体』)という「明確な境界線が無い、連続体」として自閉症・アスペルガー症候群の2つを認識しよう、という考え方により、
「自閉症スペクトラム障害(自閉症とアスペルガー症候群の2つをまとめたもの)」という名称が生まれました。
自閉症スペクトラム障害の原因と治療方法
原因
2020年現在では、自閉症スペクトラム障害の原因ははっきりとは特定されていませんが、
生まれつきの脳機能障害が原因である仮説が有力です。
誕生後の、「親の教育」が原因で自閉症スペクトラム障害を発症するとは考えられていません。
治療方法
- 療育
- 「他者とのコミュニケーションが困難であること」「特定の事柄にこだわりすぎること」といった自閉症スペクトラム障害の症状を緩和することを目指して、
医療と教育を組み合わせて子どもが育成されること
- 「他者とのコミュニケーションが困難であること」「特定の事柄にこだわりすぎること」といった自閉症スペクトラム障害の症状を緩和することを目指して、
- 薬物の処方
- 「他者への攻撃性」「興奮」「パニック」といった状態を呈する場合に、その状態を抑えるための薬物を用いた対症療法
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