現代のライトノベル分野で、異世界転生モノが大流行していることの理由について解説します。
現代で異世界転生モノの創作物が流行している、4つの理由
1「異世界転生モノ」という分野は、現代の消費者達の需要に応えやすいから
現代の消費者達が求めている”快勝展開”へ持って行きやすい
- 元いた世界で死んで、異世界で転生する際に、
神様のような存在からもらったチート能力や、異世界でいちじるしく優位に立てるようなレアアイテム・身体的特徴で、大活躍ができる - 元いた世界で獲得していた知識を活用して、異世界(文明レベルが、元いた世界よりも数段低いことが非常に多い)で大活躍ができる
- 現代の若者達は「事前調査であらかじめ最適解を知ったうえで、最小限の労力でスマートに問題を解決するべき」と考える傾向がある
現代の消費者達が創作物に対して主に求めていることは、
「作中の快勝展開で、手っ取り早く気分が良くなること」
です。
そのため、転生時に獲得したチート能力やチートアイテム、転生前の知識のおかげで有利に立ち回れること、といった展開の異世界転生モノは、現代の消費者達の需要に応えやすくて流行しやすい、
と考えることができます。
2「ファンタジー分野」は、もともと高人気の分野で消費者に好まれやすいから
- 魔法(魔法で敵を攻撃したり、味方を回復させたりと、さまざまな超常現象を起こす)が存在する
- モンスターが存在する
- 「全世界を支配しようとする魔王と、それに対抗する勇者達」のように、
世界規模の危機的状況(消費者達からすると面白く感じる)を、物語上で容易に作り出すことができる
上記はファンタジー分野の魅力のほんの一例であり、
ファンタジー分野の作品には、人々が「面白い」「あこがれる」と感じる要素が豊富に含まれています。
現代で異世界転生モノが流行していることの原因は、
『ファンタジー分野が大きな魅力を備えていて、消費者達からの需要が大きいから』という理由が大きいです。
3「ファンタジー分野は現代の消費者達の共通認識になっていて受け入れられやすい」
現代の若い世代の消費者(1990年代~2000年代生まれ)は、
ゲーム(特にRPG系のゲーム)に慣れ親しんでいて、「ゲーム的なRPG世界」を共通認識としてもっていることが多いと考えられます。
若い世代の消費者 | 年配世代の消費者 | |
---|---|---|
親しみがある創作物 | RPGをはじめとしたゲームや、深夜アニメ | 硬派な作りの小説・漫画 |
RPG的世界の創作物 | RPGに慣れているため、非常に受け入れやすい | 凝った作りの作品が好きなため、拒絶反応を示しやすい |
年配世代の消費者達が若い頃に触れていた創作物の一例は、
たとえば、イギリスの著名な作家のJ・R・R・トールキンのファンタジー小説「指輪物語」「ホビットの冒険」の影響を強く受けているタイプの硬派な作りの小説・漫画です。
エルフ・ドワーフ・オーク・ホビットなどのおなじみのファンタジー種族の元ネタになっている、大御所のファンタジー小説です。
現代の若い世代の消費者達が触れている創作物は、
エルフ・ドワーフなどのファンタジー種族が登場し、レベル・ステータス・スキル・ギルド・職業・属性・アイテムなどのシステムが組み込まれているRPG系のゲームです。
(このRPG系ゲームも、元をたどれば「ドラゴンクエストシリーズ」「ファイナルファンタジーシリーズ」のように、トールキンの「指輪物語」「ホビットの冒険」の影響を強く受けたもの)
異世界転生モノの作品につきものである、
- キャラクターのレベルアップ(レベルの数値が具体的に上がること)
- ステータスオープン(ステータスの各種数値を空中などに開示すること)
- 中世ヨーロッパ風の街並みや社会制度
- ギルドで依頼を請け負うこと
といったRPGそのものの要素・展開は、RPG系のゲームに慣れ親しんでいる若者世代にとっては非常に受け入れやすく、
そのことが異世界転生モノが流行している一因になっています。
4「作り手側にとって異世界転生モノは作りやすいため、異世界転生モノが増えやすい」
- 本記事の「ファンタジー分野は現代の消費者達の共通認識になっていて受け入れられやすい」で解説したような、
RPG的な世界観や魔法やスキルやステータスやモンスターなどの共通認識を利用すれば、それで作品を作ることができる - 異世界転生モノは物語構成に各種のテンプレートがあり、
テンプレートに沿ってストーリーを作ったり、複数のテンプレートを切り貼りしてストーリーを作るだけで、簡単に「それっぽい異世界転生モノ」が完成する - 異世界転生した主人公が、現代知識と照らし合わせて異世界のあれこれを理解しようとするため、
作り手側も描写の手間が省けるし、消費者側も異世界のあれこれをスムーズに理解することができる
令和の現代で、異世界転生モノの主な供給元は、小説投稿サイト「小説家になろう」です。
本項目で解説したように、異世界転生モノは小説の書き手達にとってかなり書きやすいジャンルです。
それに加えて、
本記事の2「ファンタジー分野」は、もともと高人気の分野で消費者に好まれやすいからと、
3「ファンタジー分野は現代の消費者達の共通認識になっていて受け入れられやすい」で解説したように、
ファンタジー分野は高確率で読者達に人気を博したり受け入れられやすい分野であるため、
書き手達の多くがこぞって異世界転生モノの小説を書くようになり、
そのことが異世界転生モノの作品が大流行することの大きな理由になっています。
本ブログでの、異世界ファンタジーという物語ジャンルが人気である理由を解説する記事↓も合わせてご覧下さい。
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