仕事で、夜勤という勤務形態を長期的に続けた場合に、非常に高い確率で受ける各種の健康被害を解説します。
夜勤を長期的に続けることで起こる、3種類の健康被害
1「自律神経失調症」に高確率でかかる
自律神経失調症で心身に不調をきたすことは、夜勤による各種の健康被害の中で最大のものです。
自律神経失調症の主な症状
- 慢性的な、頭痛・肩こり・眼精疲労
- 慢性的に、微熱を呈するようになる
- 動悸(どうき、心臓の鼓動が平常時よりも早くなること)がする
- ひんぱんに下痢あるいは便秘状態になるなど、消化器官に異常が起こる
- 寝付きが悪くなったり、寝起きが悪くなる
- 不安感が強くなったりイライラするようになり、精神的に不調をきたす
- 記憶力・判断力が低下する
夜勤を続けたせいで、自律神経失調症が発症する理由
本来ならば眠っている夜の時間帯に忙しく活動しているせいで、
「交感神経(本来ならば昼間に活性化する神経)」が夜中に活性化し、そのことによって交感神経と副交感神経(本来ならば夜間に活性化する神経)の活動バランスが崩れて、
自律神経失調症が発症するからです。
交感神経 | 副交感神経 | |
---|---|---|
その神経の役割 | 身体を活動的な状態にする (脈を早めて呼吸を促進させるなど) | 身体を休息状態にする (血圧の低下や消化の促進など) |
その神経が活性化する時間帯 | 昼間 | 夜間 |
自律神経(人間の意思とは無関係に、内臓・血管・汗腺などを自動で支配している神経のこと)は
交感神経と副交感神経の2種類から成立していて、
夜勤によって不規則な生活を続けていると、交感神経と副交感神経の活動バランスが崩れ、自律神経失調症を発症します。
2「髪がハゲる」
- 髪の生長は「成長ホルモンが盛んに分泌される22時~26時の時間帯に眠っていること」で、促進される
- 夜勤をしていると、その時間帯に起きて仕事をしているため、成長ホルモンの分泌が上手くなされず、髪が生長しにくくなる
- 夜勤で不規則な生活が続くことは心身に強いストレスを与えるため、そのストレスのせいで髪がハゲやすくなる
上記以外のハゲる要因として、
本記事の1「自律神経失調症」に高確率でかかるで解説したように、
自律神経失調症は多種多様な体調不良を起こします。
「頭皮を含めて、身体が血行不良状態になる」「身体の回復や休息が上手く行かなくなる」といった自律神経失調症の症状により、髪がハゲることがよりいっそう進行します。
3「生活リズムが不規則なせいで、『うつ病』を発症しやすくなる」
朝方に日光を全然浴びないせいで、神経伝達物質・セロトニンが欠乏する
- 精神を穏やかで安定的な状態にする重要な神経伝達物質「セロトニン」は、朝に日光を浴びることがトリガーとなって大量分泌される
- 夜勤を続けていると、夜の勤務に備えて朝方にカーテンを閉めて眠っていることが非常に多くなり、そのせいでセロトニンが欠乏状態になりやすくなる
セロトニンが欠乏することで精神が不安定な状態になり、そのせいでうつ病を始めとした各種の精神疾患を発症しやすくなります。
夜勤を続けると睡眠不足状態になりやすく、うつ病を発症させやすくなる
- 睡眠には「身体を休めて体調を改善させる」「ストレスを除去する」という重大な効果がある
- 夜勤を続けていると、高確率で睡眠不足状態になりやすく、体調不良が常態化したりストレスが溜まり続けるという事態になりやすい
近年の医学の研究で、睡眠不足状態が続くと、不安や抑うつが強まり、うつ病を発症しやすくなることが判ってきています。
夜勤明けの朝方に眠っても、
「太陽光が明るかったり、自動車の走行音や工事の騒音などのせいで、入眠が難しかったり、明るさや音のせいで目を覚ましやすい」
「そもそも、朝から眠ることは人体の仕組み上不適切であるため、眠りが浅くなりやすい」
といった理由から睡眠の質が悪化しやすく、うつ病を発症しやすくなります。
さらに、
本記事の「朝方に日光を全然浴びないせいで、神経伝達物質・セロトニンが欠乏する」で解説したように、
夜勤を続けることはセロトニンの欠乏を引き起こします。
セロトニンは、睡眠を促進する重大なホルモン「メラトニン」の合成材料であるため、
セロトニンが欠乏するとメラトニンも欠乏するようになり、なかなか寝付けないようになります。
それにより、睡眠不足状態におちいってうつ病を発症しやすくなるという、非常に危険な事態になってしまいます。
夜勤の健康被害への、2つの効果的な対策
なるべく、夜勤のシフトを避けるようにする
夜勤は高時給ですが、
本記事で解説したように、心身や髪への負担が非常に高いというデメリットがあります。
夜勤による健康被害を避けるための最も効果的な方法は、誰がどう考えても「なるべく夜勤のシフトを避けるようにすること」です。
夜勤が多すぎる企業・業界で働いている場合、心身を壊すリスクが大きすぎるため、転職することもこの際に検討するべきです。
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心身をより回復させるために、眠りの質を高める
- 夜勤明けから眠るまでの間に、「コーヒーや紅茶や緑茶などのカフェインを含む飲み物」「お酒」を摂取しないようにする
- これらは睡眠の質を大きく低下させるため
- 日光への対策を行う
- 夜勤明けから自宅へ帰るまでの間に、サングラスを掛けて、日光による覚醒効果(入眠が困難になる)を低減させる
- 寝室のカーテンを二重にしたり、遮光カーテンを使用して、眠る時に部屋をできる限り暗くする
- 騒音への対策を行う
- 耳栓を購入して使用したり、ノイズキャンセリング機能を備えたイヤホンを装着して眠る
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